牛のこころ、人知らず

日曜日, 1月 17, 2016

酪農コンサル2

前回、久しぶりの酪農コンサルの話題でチモシー乾草とオーツヘイについて述べました。
コンサル先では、オーツヘイをやっていたのでチモシー乾草のみ給与するようにしました。
その牛は、調子が悪く反芻も少なく、横臥をしていないうしが多く見られます。
これは、牛が満腹になっていない状態です。
どうしてなっていないのか?
TMR飼料を20kg以上給与されており、その配合された内容は、粗飼料割合が50%程度は確保されています。しかし、結果として牛の満腹感は低くなっており、飼料の摂取量も高まらず、糞性状は軟らかい~軟便状態です。
TMR飼料だから濃厚飼料と粗飼料(この場合は乾草)をバランスよく食べるということを信じている人たちが多くいるのでしょうか?
実際に給与後の牛の食べている状況を観察すると見事なまでに濃厚飼料を選び食いしており、残飼を見ると硬めの乾草ばかりです。すなわち、消化性の高いものばかり選び食いしており、食べたものがルーメンに留まる(滞留時間)が少なくなっているのです。
そのために飼料効率も下がり、軟便状態では、消化管への負担が高まり、免疫力も低下して、乳質が低下しやすい状態になってしまいます。
TMR飼料の問題は、この飼料の前提条件は、選び食いをしないで濃厚飼料と粗飼料をバランスよく食べることですが、実際の現場ではほとんど上手くいっていないのが実情だと思います。
コンサル先のTMR飼料には、ペレットやフレーク加工された原料が使われており、余計選び食いをしやすくなっています。
またTMR飼料では、繊維をある程度の長さに切断しないと混合できないために乾草でも短くなっています。またこのTMR飼料の問題点は、アルファルファ乾草の割合が高くなっていたために繊維質の硬さが不足した状態になりやすいものでした。
繊維不足は、繊維量的なものだけでなく、繊維の硬さによるルーメン壁の刺激を与える必要があり、この刺激でルーメンの蠕動運動が起きやすくなりルーメン内の飼料が十分に撹拌されて微生物分解がすすみやすくなる条件です。
そのためには、繊維質の硬さがなければ刺激が少なくなりルーメン機能を高めることが出来なくなります。
そこで、今回のケースは、TMR飼料のほかにチモシー乾草を別途給与することにしたのです。
そこで使っていたオーツヘイは、品質は良いのですが繊維の長さが短めで、手で触ると硬さが感じない(チクチク刺激がない)ものなのでルーメン機能を高める効果が低いと判断して給与をしないことにしました。
今までの経験からチモシー乾草1番の硬さのあるものとオーツヘイの良質品では、繊維質から見るとチモシー乾草1kgと同様の効果を得るためには、オーツヘイは2kg程度必要だと思っています。
繊維の硬いものは、嗜好性が悪いものもあるのでその品質の見極めは難しいのですが、硬めの繊維をある程度与えることは牛に対して最低限必要なもので、これが不足していることから牛舎内でのトラベルが減らない要因の1つであると思います。

では固い繊維を食べない場合にはどうするかを次回考えてみたいと思います。