牛のこころ、人知らず

日曜日, 12月 23, 2007

続・子牛にミルクを飲ませるのは誰?

子牛へ母ちゃん牛がミルクを飲ませることが1番よいのですが、乳牛の場合には、そのミルクがお金に変わるのでなかなか長く飲ませるのことは出来ないです。
しかし、初乳から通常のミルクになるまでの期間は、移行乳と呼ばれていて、通常乳と初乳の中間的な期間になります。
この期間には、免疫成分もかなり含まれていますので、人が飲んでも非常によいミルクですがこれを子牛に飲ませることが、子牛の腸管内での免疫性を高めることになります。
特に、胃移行期のミルクを飲ませると、腸管での雑菌を繁殖させない成分があるので、非常に有効です。その成分は、ラクトフェリンやラクトパーオキシダーゼなどの抗菌性のタンパク質がその効果の中心です。
以前、放牧中の乳牛の乳中成分で調べた際には、放牧草を食べているとこれらの成分が高まることがわかっています。
そのようなミルクを上手に子牛に飲ませることが、丈夫な子牛に育てることが出来ると思います。
一方、飼い方が悪い(いわゆる粗飼料不足など)とてきめんに逆になってしまい、初乳の比重はなく(免疫成分が少ない)て子牛に飲ませても効果が低いものになります。
最近多い、ホルスタインに和牛受精卵を入れて分娩させるETでは、和牛子牛に免疫移行がされていない場合がありこのような子牛では、風邪や下痢を起こしやすく、発育も悪くなるものが多くいます。
この原因を調べたら、母ちゃん牛の栄養状態が悪く、ストレスがかかっているようなことでした。

せっかく放牧をしたのなら、和牛などではせめて1週間から10日は母ちゃん牛から直接飲ませるのが子牛のためにもいいんでしょうね。
乳牛では、移行乳をペットボトルにでも入れて冷凍させて置いて必要なときにミルクに入れるとよいでしょう。