牛のこころ、人知らず

月曜日, 2月 13, 2017

肥育前期の粗飼料

肥育前期に十分に繊維分を与えると増体がよくなることがわかってきました。 もちろん肋張りがよくなっているのは、ルーメンの容積が大きくなっているので摂取できる量も増えます。 ところが濃厚飼料をたくさん食べるとデンプン量も増えるのでルーメン環境への影響を与えます。 その1番がデンプンが分解されてルーメンpHの低下が起こることです。ルーメンpHが低下するとグラム陰性菌が死滅してエンドトキシン(内毒素)が発生する。エンドトキシンは、ルーメン内のグラム陰性菌の外膜成分でリポ多糖体(Lipopolysaccharide:LPS)とも呼ばれている。これが多くなると牛に様々な病状が現れてくるが、問題なのは血液の凝固が起こりやすくなり、小さな血栓ができてしまい臓器に詰まり不全化させてしまいます。 エンドトキシンは、通常では血中に吸収されても肝臓で解毒作用を受けるのですが、発生量が多くなると体に回る量が増加します。そうなると病的な状況に牛が陥ってしまいます。その症状はいろいろですが、ルーメン運動性が低下してルーメン内での微生物分解能に影響します。当然、活力や食欲の低下も起きます。この状況で問題となるのは、消化管での絨毛・粘膜の剥離が発生しているとエンドトキシンの吸収が増加します。増加すると各臓器に対する不全化が進行してしまい、生産性が急激に低下してしまう。 この問題点は、消化管内での潰瘍のような症状を起こしてしまうことが大きな要因となっています。ルーメンでは、ルーメンのパラケラトージス(フケのように剥がれてしまう)になると進行しやすくなります。 同様に第4胃以降の腸管粘膜の剥離などもエンドトキシンの吸収を促進します。 牛の消化管内に問題を持っていなければエンドトキシンの影響を受けにくいことになります。 まだ仮説ですが消化管内の粘膜に問題を持ちやすくなっている牛は、消化管が発育する時期に軟便、下痢便になっていたのではないかと推測しています。 十分な繊維分を食べていない牛は、消化管に問題を起こしやすいのではないか? 繊維分が不足している牛は、腸管の蠕動する力が弱い(モツが薄い)? 肥育前期に繊維分が不足した牛は、濃厚飼料を食べても増体が悪い(飼料効率が悪い)? 繊維分の充分量と乾草の食べた量とは違う? 繊維分とは何か?? 繊維分をどう評価するのか???