牛のこころ、人知らず

土曜日, 10月 11, 2008

続・微生物に幸せを

ある試験ですが、植物の脂肪分をすべて取り除いてルーメン微生物を培養するのと、植物をそのまま使って培養するのを比較すると、脂肪分を取り除いた方が微生物活性が高まったという結果があります。
この内容では、脂肪分が活性を阻害しているということになります。
しかし、この脂肪を取り除いた方にβ-カロチンを添加すると微生物活性が高まるという試験も行なっています。
カロチンは、植物に含まれている脂肪の一部で不鹸化に含まれる成分です。
不鹸化物が一体どのような役割があるのかは、もっと調べていく必要があります。

植物ステロールについては、上手く利用できれば今まで困っていた「牛の嗜好性」について判断基準になるのではないかと思います。
それは、ステロール含有量が高いか低いかで嗜好性と相関があれば、それを基準にして作付け品種を決めることが出来るということです。
あるいは、輸入された乾牧草を購入するときに、あらかじめ植物ステロール含量を調べておけば購入した乾牧草が「食べない」というようなことを防ぐことが可能になります。

特に、飼料作物や牧草類では、品種改良するときに一定の基準以下の品種については、牛の嗜好性に影響を与えるために品種選抜の段階で篩の役割をすることが出来るし、現在の販売されている品種を「牛の嗜好性」という観点から見るとどれが良いのか明示できると思います。

どちらにしても現在の問題は、牛の目線からの飼料作物・牧草といった発想が欠けていることが1番なのかもしれません。