牛のこころ、人知らず

土曜日, 9月 12, 2009

繁殖と栄養

最近の技術として乳牛などでは、タンパク質のレベルを低くして無駄な給与をやめてもっと効率化をすることで窒素の排泄量を減らし環境にも負荷も軽減する方向になっています。
実は、現在コンサルしている酪農家でこの技術を応用したことを行っています。
牛のルーメン内では、分解性されるタンパク質の割合が多くなるとアンモニアの発生量が多くなります。
このアンモニアは、ある程度は必要ですがあまり過剰になるとルーメン壁から吸収されてしまい、無駄になり、またこのアンモニアの血中濃度が高くなるとアンモニア中毒になり死に至ります。
そこで体内では、解毒を行ってそのようにならないような仕組みがあるのですが、現状の乳牛(搾乳牛)では非常にアンモニアレベルが高く維持されていると考えています。
特にこのアンモニアが高いと体内のpHが高めになりいろいろな障害の要因の1つと思われます。
障害の代表としては、繁殖障害があります。
これは、子宮内のpHが高くなると受精卵が着床しにくくなることが知られています。
このような状況ですが、コンサル先の農家では、ルーメン内でのアンモニアを効率よく利用するためにタンパクレベルを下げることと同時にアンモニア利用する微生物の活性化に必要なでんぷん割合を高めた給与設計を行った結果、繁殖の改善効果が著しく現れました。
しかし、今までの概念ではタンパク質のレベルを下げると乳量が出ないという概念(思い込み?)があり
思い切ったことはしていませんでしたが、この現場の結果から従来よりも低タンパク質でも乳牛の飼養管理が可能であるということがわかりました。
この農家は、乳量が32kg平均レベルですが、種付け回数が大きく減ったことの経営メリットが大きくなっています。
このことから、乳牛で30kgレベルであればそんなに無理をしないで安定的な給与技術は作れますし、より高いレベルであれば、ルーメンバイパスタンパク質の利用とアミノ酸のリジンとメチオニンの割合を3:1以下に設計するような工夫が必要になります。
このようなことから、粗飼料の種類にもよりますが、配合飼料の内容については簡単にできるでしょうね。
あまりつき進めると仕事がなくなるので困りますがねぇー?????