牛のこころ、人知らず

土曜日, 1月 10, 2009

最近の肉牛の話題

最近ですが、肉牛に関して現場で問題になった話題を紹介します。

黒毛和牛肥育牛に食べさせるイナワラのことです。
肥育では、イナワラを大体1~1.5kg程度肥育牛は食べますが、最近は「サシを入れるために」(霜降りの肉つくりです)ビタミンAのコントロールをすることが常識になっています。
イナワラを食べさせるのも通常の乾草などよりビタミンA含量が少ないことから使われているのですが、以外にイナワラのビタミンA含量が高い物があることがわかりました。
イナワラに含まれているのは、ビタミンAではなくβ―カロチンです。
β―カロチンを摂取するとビタミンAに変わるのですが、イナワラが緑色(あるいは黄緑色)のものには比較的多く含まれています。
そのために、肥育を始めた初期段階では、ビタミンAのレベルを下げるようにするのですが、このようなβ―カロチンの多いイナワラをやると血中のビタミンAが減らずに逆に増えてしまうケースがあります。
そのためにビタミンAレベルが低下することで「サシ」がロース芯に入るのですが、低下しなくて逆に増えると「サシ」が入らないことになります。
そのために枝肉になった時に格付が悪くなり、価格が安くなってしまいます。
これは、イナワラに含まれるβ―カロチンレベルもありますが、ビタミンA換算で300IU以上になると危険だと考えています。
イナワラではないのですが、乾草はもっと多く含まれていますが、子牛市場から導入した際にいわゆる「飼直し」をするのに良質乾草としてチモシーを使いますが、これも品質(グレード)の高いものにはβ―カロチンが含まれているので、あまり長く給与してしまうとビタミンAが下がりにくくなり「サシ」が入らないことになります。
チモシーだけではなくオーツヘイなどの品質のよい(緑色がある)乾草でも同様なことが起きてしまいます。

最近ロース芯の「サシ」が甘いと感じている肥育農家の方は、一度チェックしてみて下さい。