牛のこころ、人知らず

日曜日, 9月 14, 2008

牛の喜びは虫の喜びか?-パート3-

しばらくぶりの書き込みです。
忙しいという言い訳?ですね!

続きになりますが、脂肪と言っても牛のルーメンの場合には、脂肪が多くなると基本的にルーメン内の微生物の活性が低下してしまいますから、あまり多く給与するとマイナスになることもわかっています。

しかし、なぜ牧草ではこの脂肪が嗜好性(言い換えると食べるor食べない)に影響しているのでしょうか?
それは、脂肪と言ってもいろいろな成分の総称になります。
もう少しわかりやすく説明すると、
石鹸を作るときには、油をナトリウムなどに化合させるのですが、そのときの固まる成分を鹸化物と呼ばれています。そして固まらない成分を不鹸化物と区分しています。
この不鹸化物の成分は、ビタミンAやビタミンEなどの脂溶性ビタミン類が多く含まれています。

実は、この不鹸化物の中にルーメン微生物の活性成分があるのです。
これは、明治大学の高橋先生のグループが見つけたものですが、この成分でルーメン微生物を培養すると活性化してガスの発生量が多くなることを確認しています。
この成分は、不鹸化物に含まれる植物性ステロールであることをわかっています。
すなわち、植物ステロールが多く含まれるものは、ルーメン微生物を活性化させて乾物摂取量を増やすことができるものです。
これについては、今年夏にげんちでの給与試験を行なっていますが、途中経過では農家間での差があるので一概に結論できませんが、夏場に乾物摂取量が低下しないで、乳量も維持でき事例も出てきています。
しかし、この原料は液状(粘性のある)でかつ高価なものですから、実用性があるかどうかはその費用効果とよく検証しないといけないと思っています。

一方牧草などでは、この植物ステロールを調べれば、その品種の嗜好性が高い可能性があるので今後の品種改良などには期待がもてると思います。