牛のこころ、人知らず

金曜日, 1月 16, 2009

続々・最近の肉牛の話題

実際にイナワラのビタミンA含量を測定すると、これは地元産のイナワラでしたが、平成19年度産(おととしのもの)と平成20年度産(去年のもの新ワラです)では、19年度産で204IU/kg、20年度産で1,570IU/kgでした。(現物中の数値)
日本標準飼料成分表(2001年版)では、イナワラのビタミンA(実際はβ‐カロテン含量ですが)は0~3,700IU/kgの値が載っています。
ちなみにチモシー乾草では、4,000IU/kgが平均値のようです。
これらは、イナワラの品質によって大きく変わりますが、少なくともイナワラは、昔から言われているように、冬越ししたものを使う工夫が必要なのでしょうね。

飼料の分析値だけを見ると繊維分は、麦わらもイナワラも変わりがありません。
日本標準飼料成分表からワラ類の繊維分を比較すると、下のようになります。


             ADF (DM%)   NDF (DM%)  CF 消化率(%)
イナワラ (水稲)     39.2         63.1          57
小麦ワラ          46.5         70.2          58
大麦ワラ          47.9         74.9          57


この数値からだと、イナワラよりも小麦、大麦の方が繊維分は多くなっていますが、イナワラを食べた牛と小麦ワラを食べた牛の違いは、見た目ではっきりわかります。
イナワラを食べた肥育牛は、正面から見ると四角く見えますが、小麦ワラ食べた肥育牛は、正面から見ると金魚腹のように見えます。(書いて表現するのは難しいです)
これは、繊維分が不足している状態かあるいは、食べているエサ全体の消化管を通過する時間が早いために起こっている現象です。
実際に牛舎に行く、配合飼料はたくさん食べているのに思ったほど、枝肉重量がないのは、このようなことが理由の1つになっていることが多いのです。
特に最近の黒毛和牛の血統は、平茂勝から大型化が進み枝肉重量を取ることが重要視されていることから、たくさん食べさせないと大きくならないし、「サシ」も入ないといことがわかってきましたので、昔のように大麦などできつい配合飼料でつめていくような資質系の飼い方から大きく変わってきているのです。
いかにたくさん食べさせるかが、大型血統牛のキーポイントになってきています。
そのためには、イナワラの品質がより重要になってきているのでしょうね!