牛のこころ、人知らず

木曜日, 3月 25, 2010

油が脂に

わかりやすい言い方をすると、牛が食べているエサは植物性のものばかりですから、それに由来する油脂分(脂肪分)は植物性油脂になります。(当たり前ですが)

ところが、牛の脂肪分はラードですから動物性油脂になっています。

これは、牛のルーメン内で植物性油脂が動物性油脂に変換されているからです。

植物性油脂をわかりやすい例でいうと、てんぷら油、サラダ油のような液体の油脂分です。

これらの油は、その構成されている脂肪酸の中で、不飽和脂肪酸の割合が高くなっているもので、脂肪の融点(固体から液体になる温度)が低いものが多いために液体になっています。

逆に動物性は、脂肪酸の中では飽和脂肪酸の割合が高くなっているので、融点の高い脂肪分が多いために固体になっているのです。
これは、ルーメン内で不飽和脂肪酸に水素がくっつくことで(水素添加するといいます)飽和脂肪酸に変換されていきます。
この作用が十分に機能していれば、牛の付着している脂肪の質は固くなるのですが、ルーメン内で水素添加が十分にされていないと付着する脂肪の質が悪く(水っぽい軟らかい脂肪質)なります。
この水素添加がルーメン内で起るために、ルーメン内に水素がないと出来ませんから、常に水素の供給が必要になります。
牛の場合には、ルーメンに水素供給に貢献しているものは、「唾液」です。
すなわち、ルーメンに唾液の流入が起こっていないと駄目であるということです。
「唾液」が十分に出るためには、反芻(噛み返し)が重要な要素になります。
ですから、ボディコンディション評価ではこれらが上手く行われているかどうかを実際に「触診」してみることが大切な要素です。
この脂肪付着については、もう1つ大事なことがありますので、それは次回にしましょう。