牛のこころ、人知らず

日曜日, 10月 03, 2010

牛肉の旨味に関して

9月14-15日と肉用牛研究会に行きました。
今年は、京都でありました。(来年は、山形です)
この中で、興味深い発表が2つありました。
1つは、肉の旨味についてです。
これは、A4規格の牛肉の食味検査をしたところ、おいしさに共通した項目は、オレイン酸でした。
ところが、まずいと感じた項目は、リノール酸でした。
牛肉は、もともと脂肪の融点(溶ける温度)が高いと口溶けが悪くべたべたした感覚であまりたくさん牛肉を食べれないので、融点が低い方がよいとされていたのですが、このまずいと感じたリノール酸は脂肪の融点が低い脂肪酸で、この牛肉の融点を下げるものです。
リノール酸が多いと融点は下がるのですが、この結果から融点が低すぎても旨く感じないもかもしれません。
まずいと評価された牛肉の脂肪融点は、およそ21℃と27℃で、評価の高かった牛肉の脂肪融点は25℃くらいでした。
今回の牛肉の規格はA4でしたが、より規格の高いA5クラスでもっと脂肪含量が高いものであればより旨味の差が出ているかもしれません。
このことから、あまり脂肪融点が低くなりすぎるのも悪いということから、これは、給与している飼料の原料に由来していることになります。
今、飼料からの脂肪融点を下げるために脂肪分の高い原料を多く使う傾向がありますが、安易に脂肪を高めることができるトウモロコシなどだけでは融点が下がっても旨味に欠ける牛肉になる可能性があります。
現実に、枝肉の見た目が非常に良いものが決して美味しいとは評価されなくなっている事例がありました。この給与している飼料もトウモロコシの脂肪が量が高いハイオイルコーンであったそうです。
トウモロコシには、リノール酸、リノレイン酸の多価不飽和脂肪酸が多く含まれた原料ですから、給与すると脂肪融点が下がりやすく、見た目の良い牛肉にはなりますが黒毛和牛の場合には問題があるのかもしれません。
ちなみにあるメーカーでは、脂肪融点を下げないと枝肉の評価されなくなっているとしてトウモロコシを多く使ってコストの安い配合飼料を作ろうとしています。(もうつくったかな?)
そうであれば、和牛用でなくてもホルスタインの肥育用でもいいような気がしますがね!