牛のこころ、人知らず

火曜日, 8月 30, 2011

ルーメンの微生物

ルーメン液を使った培養試験をやっています。
7月以降すでに3回やっています。
直接ルーメンを使うナイロンバック試験ではなく、ルシテックという培養装置を使っています。
ルシテックは、1度に8つの培養槽が使えるもので、そこそこの数の処理ができます。
そこで何をやっているかといえば、アミノ酸の成分である分枝鎖アミノ酸を多く含む原料を使った試験です。これは、40年前に研究されていたデーターから分枝鎖アミノ酸はルーメン内で分解されてイソ酸に変わることはわかっています。
このイソ酸は、主に微生物のセルラーゼ活性を高めて繊維の分解率を高めることが知られています。
この試験の発端は、ある地区のTMRセンターでこの原料を飼料中に2%程度混合して給与している事例で非常に繊維の摂取量が増えて乳量が増えたことがありました。しかし乳脂肪率が低くなかなか繊維量を増やしても上がらないことから給与牛のルーメン液を採取してVFAの分析を行ったら、通常よりも高いイソ酪酸の量が検出されました。
これは、分枝鎖アミノ酸の効果であると可能性からこれらを実証するための培養試験を行っています。
今までの結果からは、イソ酪酸が増えることが確認しできて、これが繊維の分解率を高めるかどうかを試験しています。NDFの分解率を調査しています。(NDFdです)
結果は、来月中旬には出てくると思われます。

話は、これで終わらなくて、興味はセルラーゼの活性が現場の事例からは今までと異なる反応(繊維の摂取量が増えていく時間が30日以上かかっています)のために従来とは異なるパターンのような気がしています。(ほとんど勘ですが)
可能性があるのは、ルーメンでのセルラーゼ活性を持つ”Fungi"でないかと推測しています。
”Fungi"とは、真菌類のことでカビの仲間です。
ルーメンには嫌気性真菌類がいることが確認されたのは1975年のことです。
最近に発見されたものですが、嫌気性なために培養も難しくあまり研究されていなくて専門にしている研究者も少ないようです。
研究としては、分子生物的な研究はされていますがルーメン機能での解析はされていません。
まずは調査方法の検討から始めますよ!