牛のこころ、人知らず

土曜日, 6月 07, 2014

栄養価か繊維か?

和牛の繁殖肥育一貫経営している農家に行きました。
自家産のイタリアンロールサイレージを調製して繁殖牛と子牛に給与していました。
ところが栄養価が高いサイレージ調製をしておりイタリアンの出穂期に刈り取りをしておりかなり柔らかく茎が細いものでした。しかも色が黒っぽくなっており臭いはひどくないけどあまりよくないものでした。
詳しく聞くと春先に尿素の追肥を行っていました。原料草に窒素が多いと乾きが悪くなりやすく茎は細くなってしまう。窒素の追肥は土壌温度が高くなると尿素が分解されてアンモニアになり硝酸態窒素になり植物に吸収される。しかし春先は地温が低いために吸収される時期が遅くなりかつ過剰に吸収されます。その結果硝酸態窒素を多く含む草になります。硝酸態窒素が多いと植物体は糖含量が低くなり、カリウムが高くなりマグネシウムとカルシウムが拮抗作用により低くなります。
春先の窒素の追肥は条件により行った方がよいでしょうね!特に秋に堆肥を入れた場合には注意をした方が良いでしょう。
そこで農家には、春先の尿素追肥をやめてもらい刈り取り時期を出穂時期より少し遅めしてもらいました。今年のイタリアンは天候の影響もありますが予乾が効いたロールサイレージ(ヘイレージ?)になったそうです。もうすぐ開封するので近々行く予定です。
ところで乳牛でもそうですが自給飼料に求めているものは何でしょうか?
多くの人が栄養価を挙げますが条件によっては栄養価ではなく繊維分ではないでしょうか?
前述の農家のように和牛の場合でも栄養価を意識していますが輸入乾牧草が高くなっていると繊維分ではないかなと思います。
最近イナワラを乳牛や肉牛の子牛に給与を勧めています。しかしまだ多くの農家が「栄養がなく乳が出ない」「子牛が増体しない」と決めつける人が多いようです。大学の先生からも指摘されました。
しかし和牛で人工乳を給与している子牛に細かく切ったイナワラを適量(100~200g程度)人工乳に混ぜてやってみると前幅のある深みが出てきました。また搾乳牛にイナワラを3~4kg程度給与すると乳量が増えたケースもあります。
現場は繊維不足の状態で反芻が少なくボディコンデションが悪い牛が多くいます。
その場合は固めの繊維を食べさせる必要があります。
でも食べない時にはどうしましょうか?
これの処方は、次回に