牛のこころ、人知らず

日曜日, 12月 06, 2015

家畜への抗菌性素材

抗菌性素材としての焼成カルシウムの研究をやってきました。
ラボレベルでは、鳥インフルエンザや口蹄疫のウィルスへの不活化効果は認められていますが
実際の畜舎環境への確認を来年以降に実施します。
ラボでよくても実用化されないと意味がありません。
研究するだけなく実際の生産現場に役立つことが農業技術です。最近の農学の研究内容は細かくなってきて研究結果が農業のどの部分に役立つかわからいしあまり関係のないこともおおくあります。(これは個人の見解です)
この抗菌性カルシウムは、原料はカルシウムを含むものでホタテ貝殻やカキ貝殻、あるいは卵の殻です。この素材を高温で焼成させることで強アルカリと発生する活性酸素の複合作用で抗菌性を発揮するこおもわかっています。
焼成カルシウムは、消石灰と異なり発熱しなくてその効果も長く継続して、体に対する悪影響もありません。但し、消石灰よりも価格が高くなることです。当然加工するための経費がかかりますので10倍以上の価格差があります。
また強アルカリなのでコンクリートへの影響が懸念されていますが、現在の段階ではコンクリートへの影響は少ない傾向のようです。
そのために畜舎に使える見込みが出てきました。
この焼成カルシウムは、水に溶解しても強アルカリ水になり同様に抗菌性を発揮します。
今後どのような試験を行なうかは、共同or委託研究の内容を検討しだになりますが、鳥インフルや口蹄疫を通常の畜舎環境で試験は不可能なので、とりあえず畜舎内の総細菌数や特定の細菌(乳牛では環境性の乳房炎菌や豚はPEDなどでサルモネラや真菌類である酵母など)を対象で行なうようになると思います。

一方強酸性の素材は、籾酢液については来年(2016年1月)の畜産環境学会誌に掲載されます。
籾酢液による実践は、20年以上前から養豚農家により行なわれています。
京都大学では、木酢液と竹酢液による口蹄疫ウィルスの不活化作用を確認し、特に竹酢液が効果が高いとして不活化に関わる成分の特定を進めているようです。
この籾酢液は、真菌類である酵母に対する効果があり幅の広い用途があると考えられます。しかし、強酸性は畜舎の設備を腐食させることが問題です。そのために腐食に対応する材料であればよいのですが現在の畜舎では不可能なことですからバイオセキュリティとの兼ね合いになりますね。
強酸性と強アルカリを交互に使っても腐食問題を解決できませんので工夫を考える必要がある。

ところがこれらを解決することができるものを見つけました。
これは、レジオネラ菌に対する効果がある中性水です。これはすでに温泉施設や公共のプールなどに使われています。
しかし、畜産に対する試験は行なわれていないので確認が必要ですがおそらく現時点での一番安全なものだと思います。ちなみにこの中性水は、野菜の洗浄に使われています。野菜の洗浄は、主に塩素系による洗浄を行なっているために野菜の痛みが進みやすくかつ洗浄水の処理が必要です。洗浄した処理水は、浄化処理が必要でかなりの経費がかかります。
中性水については、もう少し検討した結果で報告する予定です。