牛のこころ、人知らず

月曜日, 1月 18, 2021

糖分ではなく糖度でした

前回、Brixについて糖分としていましたが正確には糖度でした。

Brixは、20度のショ糖液の質量百分率の値で定められており、ショ糖10ℊを含む水溶液100ℊをBrixを屈折計で測定した時はBrix値は10%となります。

正確には、ショ糖以外の糖分も屈折作用があるのでBrix値がそのままショ糖量ではないので注意が必要となります。

ところで牧草の糖度を高めるためにはどうような栽培管理が必要なるでしょうか?

畜産農家では、どうしても栽培する畑には糞尿が投入されています。その糞尿を発酵させているのか生の状態で散布するかで大きく異なります。

原則的には生の糞尿を散布することは不可ですが、まあー難しいことでしょうねえ😞

作物(牧草も含めて)は、窒素(N)と加里(K)は過剰になっても吸収する性質があります。そのために窒素や加里が土壌中に多いかどうかがポイントなるので土壌分析で確認する必要があります。窒素は土壌中での形態で何種類もあるのでわかりにくいのですが、加里は多いか少ないかわかるので草地では、加里が多いとほとんど場合には窒素も多くなる傾向があるので加里を目安にするとよいでしょうね。

また窒素肥料は、尿素よりも硫安(硫酸アンモニア)の方が草地では良いと思います。尿素は、土壌中で分解されて作物に吸収されるまでに硫安よりも時間がかかるのでタイミングは遅くなります。イタリアンライグラスに春先に追肥される方で尿素を使っていると土壌の温度が上がってくると尿素が分解されて吸収されやすくなるタイミングと投入した糞尿が分解されて窒素が吸収されるタイミングがマッチングしやすくなり過剰に吸収されてしまいます。その結果は、草地でイタリアンライグラスが倒伏して葉色が濃くなり黒っぽくなったりします。このような状況になると窒素が過剰吸収されることで糖分が低くなる傾向となり水分含量が高くなります。このような草は、乾燥しにくく、嗜好性も悪く、硝酸態窒素も高く、ミネラルバランスも悪い飼料になります。

経費をかけて作った粗飼料がこんなものなるなら作らない方がいいのではないのかなー

肥培管理では窒素量を肥料と糞尿から推測して適量にするかやや少なめにすることが良質粗飼料になりやすいでしょうね。

適切な肥培管理は土壌中の成分だけでなく実際に草地に生える雑草の種類から判断する必要もあります。



水曜日, 1月 06, 2021

牧草で大事なことは糖分だ

 コロナによる緊急事態宣言が明日(7日)に発出することになったようです。

来週からの予定のキャンセルが来ており自宅待機で資料整理の日々ですな😖

北海道に行く予定も11月から延期になっており何時になるかなー

このような状況ですが心配していた枝肉価格は年明けには下がると思いましたが堅調に推移

しているようですのでよかったです。今後はよくわかりせんが、輸出が好調で推移して欲し

いものです。

ここ3年くらいは牧草(イタリアンやチモシー)について調製されたサイレージ・ロールサイ

レージを給与している牛のコンディション(代謝の状態)やグラスフィッドビーフを調べて

みると牧草についてのポイントは糖含量です。

アメリカでグラスフェッドビーフ(放牧草で肥育された牛肉)の研究している

UnderstandAGのAllen.R.Williaumus(PhD)は、牛を放牧している牧草の糖度(Brix)を測

って牛の超音波によるマーブリング(脂肪交雑)の調査から牧草に十分な糖度がないとマー

ブリングが高くならない傾向があるとしている。

これは牧草に含まれるタンパク質とカロリー(この場合は糖分)関連が重要であることで

す。すなわち糖分はカロリーですので牛が食べた場合にルーメン内で活動する微生物がいか

に効率よく分解できるかにかかっています。

ルーメン内ではタンパク質は微生物によってアンモニアまでに分解されます。このアンモニ

アを微生物が取り込みますが、取り込めないと胃壁より吸収されて血液中に入り体に悪影響

を与えます。アンモニアを微生物に取り込んでもらうためには微生物増殖因子であるカロリ

ーが必要となりるのですが牧草類ではデンプンがほとんどないのでカロリー源は糖分となり

ます。この糖分が十分に残っているかどうかが牛に給与するときにポイントです。

しかしこの糖分は、微生物にとっては大変なごちそうなので誰もが欲しがっているもので

す。そうすると牧草に糖分が十分にあってもサイレージにすると乳酸菌などの嫌気性菌に利

用されてしまいますので、牛が食べる時には糖分が少なくなっている状況です。

そしてサイレージ水分が多いほどタンパク質がルーメンで分解されるスピードが速くなる割

合が高くなるのでそれにマッチングするカロリーが必要となります。しかしカロリーを何に

するかと考えるとデンプンよりも糖分の方が早く利用されるのでもともと牧草がもっている

糖分を有効させるのが一番最適ですよね😁

このバランスを取ること(タンパク質とカロリーの)が上手くいったのがイタリアンロール

を低水分で調製したものでした。(結果論オーライでしたが)

想定したよりも上手くいって繁殖母牛では肥ってしまうようになっています。

このことから乳牛でも牧草の利用性を上手く利用したサイレージ調製のポイントは水分調整

であると思いませんかな?

グラスサイレージは水分を70%以下にして、2次発酵させないように鎮圧を十分にして、糖

分をできるだけ残しておくとでしょう。

ロールサイレージは、水分を40%以下にして発酵させないように調製することで、水分を下

げるためには早刈りしないで最低でも出穂期以降の刈り取りとして、天気予報を注視して、

最後は直観で刈り取りすることでしょうか😙






火曜日, 1月 05, 2021

いろいろあるけど丑年なので

 少し遅れての明けましておめでとうございます。

久しぶりの投稿になります。しばらくお休みしていましたがゆるるりと

投稿したいと思います。

今年の干支は丑なので🐃🐄に関して良いことがたくさんあればいですなー😄

牛肉相場が昨年後半に高くなり肥育農家も一息ついた状況ですが、一方で子牛市場の相場が

高くなり元の木阿弥😔ですな❕

主に肉牛の仕事が多かったので乳牛から少し離れていたのですが友人のお手伝いを始めるこ

とになりこれまでの真逆な発想のことを始めましたよ。

それは乳量を減らすことです。こう云うとお前はバカかと罵られること間違いなしですが

実際に乳量を減らす場面ってありませんか? よく考えてみて下さいね👆

答えは次回にしましょうか

ところで先日NHKの「ダーウィンが来た」という番組で丑年にちなんだ内容を放送していま

した。牛についての説明はなかなかわかりやすいと思いましたが個人的に興味があったのは

日本での牛の元祖である口之島牛を取り上げていたことです。

口之島牛は鹿児島県の口之島しかいなくて孤島にいたことで他の牛との交配がないので遺伝

的にも貴重なものです。口之島牛には白い斑紋があったり褐毛がいたりしますが、平安時代

牛車(ぎゅしゃ)を曳いている牛の絵には白い斑紋が描かれています。江戸時代の牛の浮世

絵に描かれている牛にも褐毛やホルスタインのような白黒模様の牛もいますしその体型も口

之島牛によく似た形です。おそらく日本に渡来した牛の原型が口之島牛なのでしょう。

以前は、上野動物園にいたのですがいつのまにかいなくなっていました。

是非一度、口之島に行って見てみたいものです😊

口之島牛の話題ついでに最近いろいろと飼料給与について行っていると黒毛和種については

草だけで飼育できる(もちろん肥育でなく繁殖牛ですが)ことがわかってきました。

これは黒毛和種が他の種よりもルーメンでの微生物タンパク質合成の能力が高い可能性とも

ともと牛の備わっている微生物タンパク質合成能力を発揮させていない飼料給与している

可能性があると思います。実際に黒毛和種を粗飼料のみで飼育している農家もあるし育成牛

に乾草主体で飼育しても肥育素牛として十分に通用しています。

これに関連してイタリアンをロールに調製して給与していた黒毛和種の一貫経営でイタリア

ンを早刈りからやや遅く刈り取りを行い水分を少なくしたロールにしたところ繁殖母牛に

給与すると肥り出してきてしまい給与を止めるといいうことなりました。

理論的には、刈り遅れたので栄養価が下がるのが常識ですがなぜ太るか不思議ですよね😵

このロールを育成牛に給与すると濃厚飼料がほとんど給与しなくてもよくなりました。

濃厚飼料は、糞性状を見ていくらか給与していますがこれまでの1~2割程度です。

肥育成績も良くなって昨年の12月には肥育牛の販売をしなくなりました。

(但し、20日に1頭だけ頼まれて出荷したそうです)

相場もいいのにどうしてと聞くと「税金対策」という答えでした。

驚きましたよ😱 このご時世に 

それだけ利益が出ているということでした。

何故このようになったかついて解析していますのでこれから説明したいと思います。

ではコロナが収まり良い年になりますように