牛のこころ、人知らず

金曜日, 1月 06, 2012

アルカリ化の続き

カルシウムによる牛の体のアルカリ化により、繁殖(種付け)に問題が生じる可能性があるのですが、これは実際にからだのpHを調べる方法として尿のpHを調べる方法があります。
例数は少ないのですが、実際には8.5を超えるような搾乳中の乳牛は結構います。

どのようにカルシウムによるアルカリ化対策を考えればよいかは、肉用牛の事例があります。肉用牛では、アルカリ化になると尿石症が発生してしまうのでこの対策としてカルシウムのレベルを下げる(減らす)ことを行います。
黒毛和牛の肥育などでは、飼養基準の半分程度でも問題なく肥育できます。
この場合に注意が必要なことは、肥育の場合にはカルシウムとリンの割合を2:1にするという教科書?がありそれにこだわるとカルシウムを減らせません。
これはあまり気にしなくてもよいようです。
ある事例では、F1肥育で10頭マスで飼養している牛がすべて尿石症になるような牧場がありましたが、カルシウムの量を下げたらほとんど発生がなくなりました。
但し、この牧場に飼料販売しているメーカーの獣医師からクル病や骨軟症なるのでそのようなことはしない方がよいという発言がありました。しかし、生産者は実際何年も尿石症が発生しておりその対策をメーカーに要望していましたが、いろいろ改善策をやったのですがまったく効果がなかったので、このカルシウムを減らした飼料に切り替えてもらいました。
その牧場では、それ以後ほとんど尿石症に悩むことはないそうです。
しかし、そのメーカーは未だにカルシウムを減らしたものは「ダメ」であるとの見解です。
できればこのようなメーカーとは付き合わない方がよいでしょうね!

このカルシウムですが、1つの特徴があり、無機質(鉱物質)のカルシウムー炭酸カルシウムなどではアルカリ化が顕著ですが、以外に有機物由来のカルシウムーカキ殻、貝化石などでは同じ給与量でも有機物由来のカルシウムではアルカリ化が進むにくいようです。
そのために上記の尿石症対策でも有機物由来カルシウムを原料に組み入れています。
また別な事例ですが、牛の脚にツナギ部分が弱い(いわゆるカマ足のようになる)牛群で同じように炭酸カルシウムからカキ殻由来のカルシウム剤に変えたら脚状態の改善が見られました。
おそらくカルシウムの吸収のされ方の違いが影響しているものと思います。(たぶん)