牛のこころ、人知らず

日曜日, 10月 21, 2007

続・全共に行きました


今回の和牛全共で思わぬものに出会いました。

これは、いつかは行ってみないといけないと思いながらなかなか行けなかったので、思わず感動してしまいました。

それは、写真で見ると何かわからないかも知れませんが、実は「ルーメン」の標本です。

これは、もともと岩手の「牛の博物館」に展示されているのですが、今回の全共にありました。

ルーメンの標本があるのは、日本では「牛の博物館」だけだと思うのですが、実際にルーメンの研究をしている人でもルーメン全体を見ることはほとんどないと思います。

ルーメンの研究にためには、羊や牛にフィステル(お腹に穴を開けて、ルーメンを直接触れる状態にしてキャップをつけたもの)を装着したので、ルーメンを利用した試験を行いますが、その時でもルーメン全体を見ることはありません。

ですから、ルーメン研究に携わる人、牛を飼っている人、牛用の配合飼料を販売してる人、飼料作物・牧草を研究している人達には、是非一度は見て欲しいものです。

どのように作ったも興味ありますが、ルーメン(第1胃)から第4胃までの内部まで見事に見ることが出来ました。
写真では、全体が暗くてうまく写せていませんが、全体の雰囲気を見てください。
これらに、興味があるのはもしかしてかなりマニアックな人間かもしれませんが、今回は久しぶりに感激しました。

木曜日, 10月 18, 2007

和牛全共に行きました

10月11日から14日まで鳥取県米子市で開催された第9回全国和牛能力共進会に行きました。
予想以上のにぎわいで、盛り上がっていたと思います。
おそらく大会関係者も当初20万人と予想していたようですが、27万人以上だったそうです。
そのためか、会場から米子行きのシャトルバスが、なかなか来なくて30分以上待つこともありました。
この共進会から、新しい種雄牛が出てくるのが多いのですが、今回は宮崎県の糸北国がよい成績だったようです。
しかし、今回一層強く感じたのは各県の血統にオリジナルが少なくなってきたなという感じです。
よく見ると、血統が平茂勝の子どもばかりになっていることです。
たしかに、肥育でみると現状では、増体に優れた血統で枝肉重量が取れるので、儲かる牛であることは間違いないのですが、あまりにも偏ってきたなーと感じています。
その中でも、兵庫県は閉鎖育種をしているために、独自の育種をしていますが、その兵庫県でも「土井系統」ばかりで、茂金波以降はいわゆる「波系統」が少なくなってきています。
これらのことは、遺伝資源をどうするかと経済性を考えていかなければなりませんが、今はどちらかといえば、繁殖農家が儲かるてめの経済性に重点が置かれていることや、各県も種雄牛の造成にも「成果」が求められているので仕方がないことでしょうけれども、これが進むと益々子牛市場の頭数の多いところに購買者(肥育農家)が集まる傾向が強まるでしょう。
しかし、すでに事業団や民間の種雄牛が主体になっている現状では流れを止めることは難しいのかもしれません。
今回の和牛全共での感想です。

日曜日, 10月 07, 2007

日本産肉研究会

今回の畜産学会の前日に日本産肉研究会というのが立ち上がりました。
設立して第1回の研究会が開催されたました。
この研究会は、今の肉牛の肥育技術が配合飼料給与を行なうことであるが、それはいわゆる「さし」である脂肪交雑主体の肉作りで、今では和牛などでは枝肉の50%が脂肪になってきています。
そこで、国内資源を有効に利用して肥育を行い、どちらかといえば「さし」ではなく「赤身」主体の肉作りを行なうことを研究しようということを目的になっています。
この先の見通しからすると、特に飼料原料としての麦類が高騰しており、大麦などは3ヶ月ごとに政府の入札がありますが、すでにかなりの価格になってきており、年明け以降は、一般的に肥育向けに使われている「圧ペン大麦」などは、kg当りの単価が100円を越えことも想定されています。
これは、オーストラリアの2年続きの旱魃の影響で小麦が世界的に不足になり、それにつられて麦類全体が大幅な値上げになっています。
その一方では、とうもろこしは比較的安定しており、乳牛用などでは大麦を使う割合が少ないこともあり肉牛ほどの価格にはならない見込みです。
しかし、肉牛では大麦の代替にとうもろこしに変えられる割合は高くなく、特に和牛向けでは大麦を使わないと牛が大きくなりにくいし、肉質でも「締まり」が悪くなったりして、枝肉価格が下がってしまうことになります。
知人との話で、「来年2008年は肥育農家は、かなりの割合で淘汰される可能性が高い」という認識で一致しています。
その中で、この日本産肉研究会の意義は大きいと思いますが、放牧した牛の肉が今のマーケットでの評価がどのようにされるかが、大きな鍵になると思います。
たしかに、産直や生協などとの取り組みで「安全」「安心」で届けられますが、実際にはこのレベル肉はオーストラリア・ニュージーランドの肉と競合する「グラスフィッド(草で肥育した牛)」ですので、どのように取り組むかは難しいと思いますが、皆さんどのように思われますか?
何か考えがあれば教えてください。