牛のこころ、人知らず

日曜日, 10月 22, 2006

放牧牛乳とは-3

放牧をするとかしないとかの話題になると、牛の関係ではとかく生産コストや効率性からの論議になり
20年前では、その効率性と乳牛については、高泌乳(牛乳をたくさん搾る)の方向へ舵を切ったので
廃れてしまったのがあります。
今注目されていることは、1つは耕作放棄地(たんぼや畑になにも作らず、荒れた状態になったもの)
の対策として、その放棄されているところへ、牛を放して雑草などの対策とするということで、国も力を入れているもので、各地の試験場などで取り組んでいます。
2つ目としては、自給率の向上のための、方法論?としての放牧の見直しです。
どちらも、政策的な部分が強くでており、現場(農家レベル)とは少し異なる感じが個人的にしています。
放牧技術については、先進国といってよいニュージーランドでは、すでに確立されている技術ですが、
それには、放牧地の管理技術・牛自体の放牧向けの改良・放牧のために季節分娩(草がある期間の春に集中的に子牛を生ませるなどの確立したものがあります。
この技術は、すばらしく今での歴史や地域にあったもので技術者の端くれとしては、大いに勉強になりますが、それをそのまま日本には、難しい面があります。
技術屋としては、日本がもっと学ぶのは、オランダなどの技術の方が、日本にも取り入れることが
多いのではないかと思います。
気候などは、北海道に近いタイプですが、放牧を行ったり、サイレージを作ったり、フリーストール牛舎やロボット搾乳機であったりと、日本に取り入れることができる技術があります。
少し専門的になりますが、オランダでは、草地に蒔く種は多いとこでは5kg/10aになります。日本では、種の種類によって異なりますが、比較すると半分(2.5kg/10a)です。これは、オランダでは。密度を高くして、短草(穂が出る前の早い時期)に刈り取りを行い、日本では、穂が出て草が十分に伸びた状態で刈り取りを行うための違いです。
しかし、放牧では、出来るだけ草が短い(草の高さが低い)のを食べさせるのが基本ですから、密度が高い草地を作るのが理想ですから、オランダの方がいいと思うのですが、日本の今の放牧技術の中にはその話題がありません。
このようなことは、農業技術ではよくあることで、私の師匠は「技術は目的を越えられない」という名言を作りましたが、まさに放牧という話題も放牧をすることが目的ではなく、放牧をしたことにより、その先をしっかり持っていないと「技術が目的」なってしまうのでないかと、思い心配しています。

日曜日, 10月 15, 2006

放牧牛乳とは-2

放牧草を食べた牛の牛乳は、サラットして飲みやすいと思います。
北海道などでは、夏はサラットした飲みやすい牛乳で、冬はやや濃厚な牛乳になります。
これは、放牧草を食べている夏と牛舎の中でサイレージや乾草を食べている違いによります。
よく考えると、一年中放牧牛乳と言えるのは、西南地域だけで、降雪地帯や冬に牧草が出来ない
地域は、冬期間は「放牧牛乳」とは、言えないのです。(当たり前ですが!!)
「放牧牛乳」といっても、1日中放牧されているのと、6時間程度放牧されているのでは、違いがありますから、これの基準といっても難しいものがあります。
しかし、放牧を否定するのではなく、別な視点でみると、まだまだ面白いことがあります。
それは、牛乳中の機能性成分が、放牧によってアップすることがわかっています。
機能性成分としては、ビタミンA(カロチン)やビタミンEなどの脂溶性ビタミンが増えます。
それよりも、今の時代に反映されるのは、やはり免疫性のある物質だと思います。
牛乳中に含まれる、免疫成分としては、免疫グロブリンラクトフェリンラクトパーオキシダーゼなどがりますが、放牧により増える傾向があります。
これらの免疫成分は、主として初乳中に含まれており、人でもそうですが、赤ちゃんの免疫強化して
体を守る働きがあります。
今これらの成分を人が摂取することで、がんや肝機能の軽減などの効果あるとされて、注目されている物質です。
しかし、これらの成分は、その構造は、たんぱく質ですから熱に大変弱いものです。
日本で販売されている牛乳は、高温殺菌されていますので、通常ではほとんど含まれていません。
(含めれていても、壊れています)
ですから、放牧牛乳といっても、よくパッケージを見てください。130℃2秒で殺菌されていれば
あまり通常の牛乳と変わらないかもしれません。
今、牛乳が売れなく酪農家も生産調整をしています。このまま消費が下がると、生産と需要のバランスが取れるまで、生産調整が続くかもしれません。
このあたりで、もう少し牛乳の見方を変えた戦略を考える機会だと思うのですがどうでしょうか?

月曜日, 10月 09, 2006

放牧牛乳とは

昨日、ちくさんフードフェア2006を川崎でやっていたので、行きました。
この会場で、放牧牛乳っを作っている全国の牧場の紹介とチーズなどの試食会が行われました。
放牧サミットのあともあって、見てきましたが、やや物足らない感じがしました。
確かに、試食はしていましたが、販売はしていなくて、多分「美味しいからもっと食べたい」
「買っていきたい」という方は、直接申し込むしかないので、一度家に帰ってインターネット
などで申し込みをする人の割合は、会場で直接買う人の半分以下になると思います。
その会場では、牛肉に販売も多くやっていて、ちくさんフードなのに、焼酎やさつま揚げ、野菜などの
販売もやっていて、隣のみなと祭り(川崎みなと祭り)も重なりかなりの人の賑わいでした。
多くの人が、家族連れできていて、ソフトクリームや牛肉の試食会(福島牛でした)は長蛇のの列でした。
そこで、放牧フェアの主催は、公的団体の日本草地畜産種子協会でしたから、販売には支障があるのかもしれませんが、せっかくの機会であれば、せめてそれぞれの販売するくらいあってもよいかと思うのは、少し商売気が強すぎですかね???
放牧牛乳を直接生産・販売をしていることは、それなりに製造や販売には大変で%u30

月曜日, 10月 02, 2006

放牧サミット-2

放牧サミットでは、現地の視察もありました。前日が、発表会(研究成果や現地の紹介事例など)がありまして、その翌日に、阿蘇周辺の放牧地などを見ました。
そこで、個人的に勉強になったのは、褐毛種(いわゆる阿蘇の赤牛)の体格です。放牧されていた赤牛は、どう見ても太りすぎでしたが、農家に聞くと「夏場は、やや肥えて冬には、やせる」とのことでした。
本来、今までの感覚では、北海道などでは、夏はやせて、冬に太るというパターンだったので、?????の感じですが、夏には草が豊富でたくさん食べて太っておき、冬には草が少なくなるのでやせるのかと改めて考えるとどうも「当たり前だよ!」ということですが、今までの経験則を型にはめるような考えにふと気づくと、恥ずかしくなります。
赤牛は、非常におとなしくて飼いやすい牛であることは、知っていましたが、今回熊本でみると、赤牛の利用性が高いと言う感じを受けました。
しかし、現実は厳しく、黒毛和種に押されて頭数は減少気味です。この理由は、黒毛和種より霜降りになりにくいために、肉の値段が安くなっているので、同じように飼うのであれば、値段の高く売れる黒毛和種になっていくのも、経済原則からみると理解できます。

オーストラリアに行くと、実は肉牛でもその品種はたくさんいて、それぞれの特徴をいかした肉牛の生産をしています。気温の高いところでは、こぶ牛がいたり、中には皮下脂肪がほどんどつかない肉牛(リムジン種)がいたりと、オージービーフといっても実際はいろいろな牛がいるのです。

ただ日本では、霜降り信仰がありますので、すぐには難しいでしょうが、高齢化社会になればなるほど良質蛋白源の牛肉が見直されると、赤身の国産牛肉の出番も近いと思っているのは、私だけかな???

日曜日, 10月 01, 2006

放牧サミットに行きました

先週、熊本であった第6回放牧サミットに行きました。
研修としては、現地の事例発表と現地視察でしたが、事例発表は、九州大学の後藤先生の発表が面白くて
その後の懇親会で少し話をしましたが、いわゆる放牧だけで牛を肥育させるということは、今の肉牛の中では異端です。(これはいわゆる霜降りの肉にはなりにくいので)
しかし、今健康と言う観点からいうと、霜降りではないけど、「赤身ののヘルシーな牛肉」ということでの
展開は可能かなと思うのですが、現実のマーケットではある程度のロット量がないと安定的な供給ができないことがネックになりそうですが………
しかし、黒毛和牛の中でも、草だけで太りそうなやつもいますし、熊本ですから、「褐毛種」(いわゆる赤牛)の肥育などは技術的に可能かなと思います。
おそらく、放牧のみや放牧主体での肥育牛では、今話題のL-カルニチンの含量が高くなり、霜降り肉とは違った機能性成分が多く含まれた「ヘルシー」になると考えられますが、まだ研究データーなどが不十分で今から取り組む課題ではないでしょうか!
その面から見ると、岩手や青森にいる「日本短角種」はその適正が高い牛で、赤身の多い肉ですがいかんせん霜降りではないので、一般の牛肉流通ではなかなか売れないことが多いようです。
黒毛和種でも、おそらく放牧草だけでも太って、しかも霜降りになりやすい血統(牛の家系図のようなもの)ではその可能性があるとの、後藤先生との話になりましたが、時間がなかったために後日、九州大学の九重の牧場に伺うことにしました。(おそらく11月くらいなりそうですが)
少し、取り組んでみたい課題です。