牛のこころ、人知らず

日曜日, 1月 14, 2007

牛乳の文化論

牛から見ると、乳牛では「より乳が出るように改良させられた」と言うべきなのでしょうが、本来牛乳を含めた「乳」で見ると、この「乳」は子どものもので(子牛もの)それの分け前を利用しているのですが、家畜文化から見ると、牛の位置付けを「人」の目線で見ると、人が利用できないものを食べて「人」に有益な「乳」を供給する動物であったはずです。
それは、牛では草を食べて栄養分する能力を持っていることがこれまでの共存できた理由だと思います。
ところが、この「草」だけで生産していたのは、遠い昔話の時代で今は、多くの乳牛では、とうもろこしや麦などの穀類などが与えられて、より多くの「乳」を生産することになりました。
この傾向は、世界中の先進国(欧米)では行なわれていることです。
そのために、より乳が出るように改良されて、今では1頭で20,000kg/約300日程度の期間に出す牛も珍しくなくなっています。
これらの生産工場させる技術を現地で指導することも、小生の仕事ですが、最近では「たくさんの乳を出すこと」イコール「儲かる経営」ではなくなりつつあると感じています。
それは、たくさんの乳を出すことが、売り上げの向上になるのですが、その過程では、多くの難問が待ち構えているからです。
それは、これらのたくさんの乳を出すことを、この業界では「高泌乳技術」と呼んでいますが、これを維持安定させるためには、牛舎(牛を飼う建物)での環境を良くして、牛のストレスをかけないことが必要ですし、実は牛に1番ストレスを与えることは、「草」(業界では、粗飼料とよんでいます)を十分に食べないこと(多く場合は、食べさせない)です。
この「粗飼料」が十分食べないことから始まる問題が、「高泌乳技術」のときに1番の問題になります。
その問題が発生した結果が、1番現れているのが、乳牛での平均のお産回数が、2.8回と言われています。すなわち3回のお産になっていないのです。
牛は、お産回数(産次数といいます)が1~2回では、まだ体が発育するために栄養分が体の成長に使われるために、3回目(3産目)以降で乳量のピークを迎えるのですから、平均が2.8では、ピーク前には、搾乳されていない牛がいるということです。
この問題は、日本だけでなく、アメリカでも同様の傾向のようです。

ですから、最近の乳牛での仕事では、いかに粗飼料を食べさせているのか、なぜ食べさせないのか、どうしたら食べるのかを重点に行なっています。