牛のこころ、人知らず

土曜日, 4月 28, 2007

粗飼料とは

最近、ある本を読んでいたら、粗飼料とは、「粗末な飼料」のことだと書いてありました。
粗飼料の「粗」は、「粗末」ではなく「粗い:あらい」という意味である思っていましたから、何か新鮮な
気持ちになりました。
たしかに、最近の粗飼料はかなり「粗末」なものが多いのが実態であることも間違いないからです。
特に、輸入されている乾牧草は、ここの円相場と中国・韓国などの買い付け増加、日本国内でのポジティブリストの関係で高騰しており、それに追い討ちをかけるようにオーストラリアの旱魃によりオーストラリア産のえん麦乾草(オーツヘイと呼ばれています)が少なくなったことも重なって、配合飼料よりも高い価格になっています。
そして、酪農家では生産調整の減産、配合飼料の高騰(バイオエタノールの増産とオーストラリアの旱魃による小麦の輸入国になったこと)で生産コストが高くなり、牛乳販売価格の値下げで収支が厳しくなって来ているために、生産コストを下げなければならない状況になってきています。
そこで、配合飼料は値上げの基金での補填がされるのでまだいいのですが、乾牧草では高くなった分だけコストを吸収できなくなってきて、どうしても価格の安いものになりがちになっています。
そうすると、安いと品質が悪くなってきますので、当然牛によい影響を与えるものにはならなくなります。
そうすると、食べなくなって、ルーメンの恒常性が維持できなくなってくるとさまざまな病気がでてきますので結局、儲からなくなっていきます。
儲からないと、またコストを下げざる得ないのでまた品質の悪い乾牧草になるといった悪循環にはまっている農家もあります。
これらの粗飼料は、それこそ「粗末な飼料」になり、決して牛によい影響を与えないことになります。
ちなみに、この本では、「粗飼料」ではなく「素飼料」がほんとうの呼び方であると述べてありました。
「素」はもとになるという意味で、牛の基本であるということのようです。