牛のこころ、人知らず

日曜日, 9月 23, 2007

低脂肪原因は?

粗飼料がいいかどうかで牛の成績が決まると言っても過言ではないのですが、今年の夏に起こったケースがあります。
それは、酪農家でのことですが、自家産のイタリアンロールを給与して不足分を稲わらや購入乾草のアルファルファとオーツヘイ(えん麦)を粗飼料源として給与していました。
しかし、自家産のイタリアンロールが刈り遅れで水分が低いために摂取量が上がらない状況で夏になってしまったら、急激に乳脂肪が低下してしまいました。
特に今年の夏は、非常に暑かったので、牛自体の乾物摂取量が上がりにくい事情もあったのですが、自家産のロールをほとんど食べない状況になっており、代替でアルファルファやオーツヘイを給与しても乾物摂取が上がらないので、ルーメン機能が狂って乳脂肪が低下したのですが、実はその他にも問題がありました。
この問題は、「おから」にあったのです。
おからは、豆腐屋さんから無償でもらっているものですのでずっと給与しているのですが、おからに含まれる脂肪分が乳脂肪をより低下させていたのです。
これは、NRC2001にもありますが、夏場のような時期は、乾草などの食い込みが低下しますが、そのときに脂肪分が多い飼料を給与すると、ルーメン内で脂肪合成を阻害する作用が起こり、それでなくても繊維不足で低脂肪になりやすいのに、それを助長していることになります。
特に、飼料中に含まれる多価不飽和脂肪酸が多いものが、問題です。
これが多いものとしては、青草(生草)や大豆油などが代表的なものです。
おからも、原料は大豆ですから、比較的脂肪分が多い飼料ですから、このようなことが起こったと考えています。
実際に、その低脂肪対策として行なったことは、
①イタリアンロールをやめてやや水分の高いスーダンロールへの切り替え
②分娩後3ヶ月程度の牛には、おからをやめる
③配合飼料の給与量を最低でも10%少なくする

その結果、1週間で3.1%だった脂肪が3.5%になりました。
おからだけが犯人ではありませんが、同じようことが今年何ヶ所で相談ありましたから、どんなものでもいかに特性をとらえて上手に使うかがポイントですね。