牛のこころ、人知らず

月曜日, 9月 24, 2007

イタリアンライグラスのこと

イタリアンライグラスは、秋播きの牧草で1番作られている品種です。
作りやすい品種で、田んぼの裏作などに昔から作られていました。
でも、なかなか品質の良い、サイレージ・ロールパックサイレージなどを見かけることがありません。
栽培しやすいのが品質の良い牧草であるとは、限らないのです。
これは、イタリアンライグラスが悪いわけではなく、その特性を理解していないからだと思います。
これも、ある事例ですが、どうしても播種前に、堆肥(糞尿)を多く入れています。
これは、頭数と畑の面積との兼ね合いでしかたないのですが、それと同時に、肥料(化学肥料)も一般的には、40-60kg/10a程度入れています。
しかし、ここで問題は、よほど気温(地温)が高くないと、堆肥からの窒素などは土壌で分解されにくい状態ですから効きが悪い(肥料効果がない)ことになります。
そのために、春先(3月くらい)に窒素系肥料(尿素ですが)を撒くことをやっていました。
尿素は、40kg/10aでした。
そのロールサイレージは、とても臭いがひどく、牛もほとんど食べないものでしたから、まずは、春先の尿素を10kg/10aにして(ほんとうは撒かないようにと話したが、心配で撒いていた)、刈り取り時期を今までより2週間ほど早めました。
これだけのことですが、結果は、非常に良いロールサイレージが出来て、かつ牛の嗜好性はよくて、食い残しがないようになりました。
イタリアンライグラスは、非常に吸肥力があり、また出穂期をすぎると栄養価が非常に落ちてしまうので出来るだけ早く刈ることがポイントです。
吸肥力が強いので、追肥として撒いた尿素からの窒素分が急激に吸収して、また地温が上がることで堆肥も分解されて窒素分が出てきますからこれらの窒素を過剰に吸収していきます。
作物生理では、窒素と加里はいわゆる贅沢吸収する成分ですので、窒素も多ければ加里も多い草になります。
これで、刈り遅れてしまうと、牛か見たら「暑くなるのに、これはないだろう。もう体がもちません!!」と言いたいでしょうね。